東京高等裁判所 昭和43年(ネ)2414号 判決
〔証拠〕並びに弁論の全趣旨を総合すれば、(1)と畜場組合は千葉衛生に対し同会社が納入した焼却炉の代金二百万円を昭和四十年十一月十八日頃、また千葉衛生が納入したドロツパーの代金百万円を昭和四十一年二月十二日頃それぞれ出来高に対する中間払として支払い、(2)千葉衛生は同会社より本件請負工事のうち整地工事と建物基礎工事を下請した訴外今井新一に対し、右工事の下事の下請代金三十八万円と百八十八万円の支払のため、将来千葉衛生がと畜場組合より受領すべき本件請負金額のうちの金千二百万円の債権の一部金三十八万円と金百八十八万円の債権を昭和四十一年二月五日譲渡し、これにつき即日と畜場組合の承諾を得、(3)千葉衛生は同会社より本件請負工事のうち軽量鉄骨の建物、屋根工事を下請した訴外有限会社安田鉄工所に対し、右工事の下請代金百八十八万円の支払のため、将来千葉衛生がと畜場組合より受領すべき本件請負金額のうちの金千二百万円の債権の一部金百八十万円の債権を昭和四十一年二月五日譲渡し、これにつき即日と畜場組合の承諾を得、(4)千葉衛生は同会社より本件請負工事のうち冷蔵庫関係の工事を下請した訴外田尻機械工業株式会社に対し、右工事の下請代金二百五十万円の支払のため、将来千葉衛生がと畜場組合より受領すべき本件請負金額のうちの金千二百万円の債権の一部金二百五十万円の債権を昭和四十一年二月五日譲渡し、これにつき即日と畜場組合の承諾を得、(5)千葉衛生は同会社より本件請負工事のうち食肉運搬の機械工事及び水道関係の工事を下請した訴外日光産業株式会社に対し右工事の下請代金二百七十四万円の支払のため、千葉衛生が将来と畜場組合より受領すべき本件請負金額のうちの金千二百万円の債権の一部金二百七十四万円の債権を昭和四十一年二月五日譲渡し、これにつき即日と畜場組合の承諾を得たが、その後訴外有限会社安田鉄工所は右日光産業株式会社より更に右工事のうち水道関係の工事を下請し、同会社より同会社が千葉衛生より譲渡を受けた右債権のうち金百十万円の債権につき譲渡を受けたこと、右(1)の代金の支払及び(2)乃至(4)の債権譲渡及び(5)の千葉衛生より訴外日光産業株式会社への債権譲渡はいずれも本件請負代金債権に対する仮差押決定がと畜場組合に送達された昭和四十一年二月二十五日以前になされ、しかも右の債権譲渡に対する債務者と畜場組合の承諾はいずれも確定日付ある証書によつてなされたことを認めることができる。もつとも前掲乙第六号証の一乃至五及び乙第七号証によれば、右の債権譲渡についてはいずれも請負代金代理受領委任状の形式を以てなされていることが認められるが、〔証拠〕並びに弁論の全趣旨によれば、岡山県下の公共団体が請負契約をする場合において債権譲渡の禁止の特約がなされているときは、債権譲渡契約書なるものは作成せず、多くの場合右のような委任状の形式で債権譲渡が行われていることが認められるから、右の委任状の形式が用いられていることは前記のように債権譲渡の事実を認定することの妨げとはならない。
(平賀 岡本 鈴木醇)